2009/11/02

Don Quijote



 昨日は、フリエタと一緒にバレエ『ドン・キホーテ』を見てきました。M・T・アルヴェアール通りにあるコリセオ劇場です。モダンバレエやダンスはこれまでよく見ましたが、クラシック・バレエは数えるほど。思い出せないほどに少ないのです。

 『ドン・キホーテ』はセルバンテスの小説ですが、あの込み入った内容からバレエになっているのは、ドン・キホーテが親に反対された若者の結婚を成立させる場面と、風車に突撃していく場面、そして、結婚式と幻想的な夢を見ている場面です。とにかく、はじめから終わりまで、物語よりも踊りの方に目が張りついていました。統制された動きと鍛えられた筋肉はまるで精巧な機械のように動きます。そして、バレリーナたちの表情は常に笑顔。

 筋肉は精神のひとつとして心理学に入れるべきだ、というのをどこかで読んだことがあります。筋肉感情なんていう言葉も聞いたことがあります。東洋医学の名著『黄帝内経』には、「喜は心を傷つける。怒は肝を傷つける。思は脾を傷つける。憂は肺を傷つける。恐は腎を傷つける」とあります。

 ちなみに、現代では鎧のような筋肉は必要ないとのこと。力仕事は筋肉の代わりに機械がやってくれていますから。筋肉こそお金では手に入らない、だからというわけではないのでしょうが、ブエノスの緑地地帯(街の北部広域を占めています)は毎晩暗くなるまでジョギングや体操をするひとでいっぱいです。夏になれば、もっと増えるでしょう。ドン・キホーテの鎧のような筋肉はいらないけれど、幻に打ち勝てるような筋肉づくりはやっぱり必要なのかも。

 ところで、今朝、ライオンが家のなかに入ってくる夢をみました。穏やかにこちらに歩いてくるのです。そこに長男が登場して、そのライオンの前足を両手でつかみました。まるで友だち同士のように。そのことを長男に話したところ、「ドン・キホーテは前後編読破したから全部暗記しているけど、ライオンの冒険というエピソードがあるんだよね」と。バレエにもライオンは出てきませんでしたし、このエピソードのことはまったく知りませんでした。夢というのは、筋肉感情とはまったく別の次元なのでしょうか。それとも、それも訓練しだいで統制できるもの?