2009/11/11

Floralis Generica




 そろそろ夏の到来です。これまでも30度を超える日がありましたが、ほころびかけていたハカランダがここ数日でいっせいに開花しました。ブエノスは今がお花見の季節です。

 昨日は、マルバ美術館(Malba-Museo de Latinoamericano de Buenos Airesまでわざわざ行ったのにうっかり火曜日は休館日でした。アンディ・ウォーホールの特設展は、またの機会に。でも、休館日だったおかげで、マルバから家まで歩いて帰ろうという気になりました。そっちの方が良かったかも知れません。ブエノスのグリーンベルト沿いのフィゲロア・アルコルタ通りはお花見街道。

 ブエノスでわたしがいちばん気になる花は、この通りのプラサ・デ・ナシオネス・ウニダスという公園にあります。4万平方メートルという広い敷地のまんなかに銀色に輝きながら咲くその花は、フロラリス・へネリカ(Floralis Generica)アルゼンチンの建築家でマサチューセッツ工科大学名誉教授、エドゥアルド・カタラノ氏(Eduardo Catalano)が13ヶ月かけて制作、ブエノス市に寄贈したものです。ちなみに6枚ある花びらはステンレスのスチール製、それぞれの大きさは13x7メートル、重さは4000キロ、雌しべはジュラルミン製で、コルドバにあるロッキード・マーチンの工場で作られたそうです。制作費は50万ドル。

 この花には水圧式の自動制御装置がついていて、夜になると閉じたり、特別な日、例えばクリスマスやお正月には一晩中開いていたり、また風速が時速80キロを越すと閉じたりと、いろいろとプログラムされています。そして、夜閉じた花のなかには真赤なハロゲンランプが灯ります。

 “La flor expresa la esencia de la naturaleza en una ciudad particularmente furiosa.”

 カタラノ氏いわく、この花は狂乱のブエノスにとってたいせつな自然の要素なのだそうです。わたしには、とても孤独な花に見えました。    

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